こんにちは!
全国各地のご朱印、お城印集めが趣味の神宮寺城一郎です!
御朱印帳づくりに携わる者として、もっと御朱印集めが楽しくなるように、訪れた寺社仏閣の魅力や、私たちが手がける御朱印帳のこともお届けしています。
今回訪れたのは、京都市西京区嵐山宮町にある「松尾大社(まつのおたいしゃ)」です。京都最古の神社の一つとされる由緒ある神社で、古くから松尾山の神が祀られ、701年には現在の場所に社殿が造営されたと伝えられています。
平安京の遷都以降、松尾大社は都の西を守る神社として信仰を集めてきました。現在も京都・洛西地域の人々に広く親しまれています。
さまざまな御神徳を持つ神社として知られていますが、特に有名なのが酒や醸造にまつわる信仰です。古くから酒造りに関わる人々の崇敬を集め、現在では日本酒だけでなく、味噌や醤油、酢など、発酵・醸造に関わる業界からも信仰されています。そのため松尾大社は、全国的にも「お酒の神様」としてよく知られています。
この記事では、松尾大社の御朱印のいただき方をはじめ、実際に参拝して感じた見どころや参拝のポイントについてレビューしていきます。
どうぞ最後までお付き合いください。
松尾大社の御朱印|受付場所・時間・種類を紹介
松尾大社の御朱印は、楼門をくぐった先にある授与所でいただくことができます。受付時間は、平日・土曜が9時~16時頃まで、日曜・祝日が9時~16時30分頃までとなっています。
授与所には御朱印のほか、お札やお守りなども並んでおり、参拝の記念にじっくり見て回るのもおすすめです。

松尾大社では通常の御朱印(書入れ・書置き)のほか、時期によって限定御朱印が授与されることもあります。2026年には限定の切り絵御朱印も案内されており、季節や祭事に合わせたデザインが登場する場合があります。訪れた際には、授与所でその時期ならではの御朱印があるか確認してみるのも楽しみのひとつです。

この日は、通常の御朱印をお願いしました。初穂料は500円。
中央には「松尾大社」の墨書きが入り、朱印が重ねられたシンプルな一枚。華やかさを前面に出したタイプではありませんが、古社らしい落ち着きと風格があり、松尾大社の歴史を感じさせる御朱印です。

松尾大社は、京都でも屈指の古社として知られ、特に酒造の神として全国から篤い信仰を集めています。境内の霊亀の滝には、首に三つの星、背に七つの星を負った亀が現れたという伝承が残されており、「星」にまつわる印象的な物語を持つ神社でもあります。そんな松尾大社の参拝に持参したいのが、「星空柄」の御朱印帳です。
松尾大社の参拝に持参したい御朱印帳
友禅和紙御朱印帳「星空柄」
松尾大社への参拝に合わせて選びたいのが、深い青の夜空に星々を散りばめた友禅和紙御朱印帳「星空柄」です。
松尾大社には、境内の「霊亀の滝」にまつわる不思議な伝承が残されています。かつて首に三つの星、背に七つの星を負った亀が現れたと伝えられており、「星」は松尾大社の由緒を印象づけるモチーフのひとつでもあります。
そんな星にまつわる伝承を持つ松尾大社だからこそ、今回の参拝には、夜空に輝く星座を描いた「星空柄」がよく似合います。落ち着いた深い青を基調としたデザインは、古社らしい厳かな雰囲気とも好相性です。

参拝する神社の由緒や伝承に合わせて御朱印帳を選んでみると、一冊そのものにも旅の物語が生まれます。いただいた御朱印を見返すたびに、霊亀の滝や境内を巡った記憶も一緒によみがえってきそうです。
松尾大社を訪れる際のお供に、友禅和紙御朱印帳「星空柄」を選んでみてはいかがでしょうか。
この御朱印帳は、Amazonや楽天市場でも購入できます。松尾大社参拝のお供に、ぜひ手に取ってみてください。
さて、最初に御朱印を紹介しましたが、御朱印は本来参拝を済ませてから頂くもの。ここからは松尾大社参拝のためのアクセス方法のほか、神社の魅力や見どころ、御朱印を頂くところまでをたっぷりとご紹介していきます!
どうぞ最後までごゆっくりお楽しみください!
松尾大社へのアクセスと基本情報
【松尾大社の所在地】
〒616-0024 京都府京都市西京区嵐山宮町3
【松尾大社の電話番号】
075-871-5016
【松尾大社の拝観時間】
平日・土曜 午前9時~午後4時
日曜・祝日 午前9時~午後4時30分
【松尾大社への電車・バスでのアクセス】
●JR京都駅より
阪急嵐山線「松尾大社駅」下車 徒歩3分
市バス・嵐山大覚寺行「松尾大社前」下車 徒歩3分
市バス・京都バス・苔寺行「松尾大社前」下車 徒歩3分
【松尾大社の駐車場】
松尾大社には、参拝者専用の駐車場があります。
駐車料金は1時間以内であれば無料。営業時間は8時から17時まで。普通車は約100台駐車可能。境内のすぐ近くに駐車できるため、車で松尾大社を参拝する場合にも便利です。

松尾大社のご由緒
松尾大社は、京都市西京区嵐山宮町に鎮座する京都最古の神社の一つとされる、長い歴史を持つ神社です。
その始まりは、社殿が建てられるよりもさらに昔。太古、この地域に暮らしていた人々が、松尾山の山中にある磐座(いわくら)に神様を祀り、生活を守る神として信仰したことが起源と伝えられています。
5世紀頃になると、渡来系氏族の秦氏(はたうじ)がこの地に移り住み、松尾の神を一族の総氏神として崇めるようになったと考えられています。秦氏は、桂川に堤防や堰を築き、水路を整えるなど、この地域の開拓に大きく関わったとされています。農業をはじめ、さまざまな産業を発展させる中で大きな力を持つようになったといわれています。
そして大宝元年(701年)、秦氏の秦忌寸都理(はたのいみきとり)が、松尾山の磐座に祀られていた神霊を現在の場所に遷し、社殿を造営したと伝えられています。
その後、都が平安京へ移ると、松尾大社は賀茂神社とともに都を守る「皇城鎮護の社」として朝廷から厚い崇敬を受けました。「賀茂の厳神、松尾の猛霊」と並び称されるほど重要な神社として栄え、現在まで長い歴史を受け継いでいます。
【御祭神】
●大山咋神 (おおやまぐいのかみ)
●市杵島姫命 (いちきしまひめのみこと)
ここから「松尾大社」の参拝リポートがスタート!
平安時代より都の守り神として崇敬を集める【松尾大社の見どころ】
今回訪れるのは京都でも有数の古社「松尾大社」だ。阪急嵐山線「松尾大社駅」で下車する。

【一の鳥居】駅を出るとすぐ目に入る大きな玄関口
「松尾大社」駅を出ると、すぐ目の前に「松尾大社」と刻まれた社号標と大きな一の鳥居が姿を現す。電車を降りてから参道までほとんど迷う余地がない。迷子にならなくてよかった。
一の鳥居は、参拝者を最初に迎える大きな目印。鳥居の向こうには松尾山の緑も望め、街中から神域へと入っていく境目であることがよく分かる。社号標の隣にある2つのオブジェは、お酒を入れる容器「甁子(へいし)」をモチーフとし、「お酒の神様」である松尾大神に捧げられたものだという。
まずは鳥居の前で一礼してくぐる。

【二の鳥居】脇勧請に受け継がれる実りを願う昔ながらの風習
一の鳥居をくぐって横断歩道を渡り、そのまま参道を進んでいくと、やがて二の鳥居が見えてくる。

ここで目を引くのが、鳥居の上部から垂れ下がる「脇勧請(わきかんじょう)」である。
脇勧請とは、榊の小枝を束ねて吊るしたもの。通常の年は12束、うるう年には13束とされ、毎年年末になると新しい榊へと取り替えられる。何気なく鳥居に掛けられているように見えるが、松尾大社ならではの特徴的な意匠のひとつである。
この形は、古い時代の鳥居の姿を今に伝えるものともいわれている。かつては、吊るされた榊の枯れ具合を見ながら、その年の農作物の出来を占っていたとも伝えられており、単なる飾りではなく、人々の暮らしと深く結びついた存在だったことが分かる。
農作物の実りを願い、その年の豊凶を見守る。そんな昔の人々の思いが、今も榊の束という形で鳥居に残されているのが興味深い。

【駕輿丁船(かよちょうぶね)】松尾祭の「船渡御」で神輿を桂川へ渡す祭礼の船
二の鳥居をくぐって進むと、左手に大きな船が置かれている。神社の境内に船とは、なかなか珍しい光景だ。これは「駕輿丁船」と呼ばれ、松尾大社の大祭「松尾祭」で使用される祭礼の船である。
毎年4月20日以後の最初の日曜日に行われる神幸祭、通称「おいで」では、松尾七社の神輿が本殿から御分霊を受けて出発。松尾・桂の氏子地域を進み、桂離宮の北東付近から桂川を船で渡る「船渡御」が行われる。川面を神輿が渡っていく光景は、松尾祭を象徴する見どころのひとつだそうだ。
千年以上にわたり受け継がれてきた神事を今に伝える、いわば現役の祭礼道具であるらしい。

境内の案内板によると、松尾祭は平安時代の貞観年間から続くとされる古い祭りで、船渡御もその神幸祭を特徴づける神事として受け継がれてきた。一時途絶えていたが、昭和58年(1983年)に約20年ぶりに復活し、平成8年(1996年)には駕輿丁船2隻も復活。昔ながらの祭礼の姿がよみがえったという。
船渡御では、神輿を川へ進め、駕輿丁船を用いて対岸へと渡していく。ぜひ一度実際に見てみたい松尾祭ならではの光景だ。

【楼門】随神と祈願杓子が迎える江戸時代初期の趣ある門
二の鳥居から参道を進むと、正面にデーンと迫力のある重厚な楼門が姿を現す。
松尾大社の楼門は江戸時代初期の作とされる建物で、明治11年(1878年)には大規模な修理が行われている。高さのある二層構造の門は華美な装飾こそ控えめだが、檜皮葺の屋根と落ち着いた木組みが美しく、長い歴史を持つ古社らしい風格を感じさせる。
楼門の左右には、弓矢を携えた二体の随神像が控えている。随神とは、かつて宮中で貴人の警護にあたった武人のことで、神社では神域を守護する存在として門の左右に祀られることが多い。松尾大社の随神像も、参拝者を見守るように楼門の両脇から境内を守っている。

【手水舎】風鈴の涼やかな音色に包まれて身を清める
楼門をくぐると、右手に手水舎がある。まずはこちらで手と口を清めてから、境内の奥へと進んでいく。

松尾大社では、初夏から夏にかけて境内に風鈴が飾られている。神様を慰め、参拝者の罪や穢れを祓うという意味が込められているそうで、暑い季節の境内を彩る風物詩のひとつになっているらしい。
訪れたのがちょうど風鈴を飾る準備が始まっている時期らしく、境内にはすでにたくさんの風鈴が並んでいた。この日もなかなかの暑さだったが、風が吹くたびに響くチリン、チリンという涼やかな音色を聞いていると、不思議と暑さが少しやわらぐように感じた。

【拝殿】江戸期の面影を残す祭典と神事の中心舞台
楼門をくぐって境内を進み、まずは正面の拝殿へ。拝殿の詳しい創建年代は明らかではないが、江戸時代にはすでに現在につながる姿が見られたとされる。檜皮葺の屋根を持つ木造の建物で、内部には格天井が設けられている。派手な装飾を抑えた素朴な佇まいからは、長い年月を重ねてきた古社らしい落ち着きが感じられる。
まずはこちらでしっかりと手を合わせ、松尾大社の御祭神へご挨拶する。

この拝殿は、日々の参拝だけでなく、年間を通じてさまざまな祭典や神事の舞台にもなるという。とりわけ松尾祭では、神幸祭の際に神輿が拝殿前を三度巡る「拝殿回し」が行われ、祭りの大きな見どころのひとつになっているそうだ。
また、年末から正月にかけては拝殿正面に巨大な干支の大絵馬が掲げられるのだとか。高さ約3.2メートル、横約5.5メートルにもなる京都最大級の大絵馬で、毎年異なる干支が描かれる松尾大社の年末年始の風物詩だ。
【神輿庫の酒樽】全国の酒造家から奉納された圧巻の光景
境内を進んでいくと、神輿庫には全国各地の酒造家から奉納された酒樽がずらりと並んでいる。これだけの酒樽が一堂に並ぶ光景は、なかなかの迫力だ。よく見ると各地の銘柄が記されており、思わず一つひとつ名前を追ってしまう。

松尾大社は「醸造の祖神」として知られ、室町時代末期以降は「日本第一酒造神」と仰がれてきた。現在も全国の酒造家をはじめ、味噌や醤油、酢など醸造に携わる人々から篤い信仰を集めている。
酒造りとの深い縁は祭事にも表れており、毎年春には酒造りの完了を感謝する「中酉祭」が執り行われるなど、今も醸造業界との結びつきは続いている。
これほど多くの酒樽が並ぶ光景は、まさに「お酒の神様」を祀る松尾大社ならではである。
【幸運の撫で亀】神様のお使いに触れて長寿と家庭円満を願う
御本殿の近くにあるのが、「幸運の撫で亀」である。
松尾大社では、亀は神様のお使いとして大切にされてきた存在。境内の各所でも亀にまつわる信仰を見ることができ、松尾大社らしさを感じさせる象徴のひとつになっている。
もともと亀は、長寿や吉祥の象徴として親しまれてきた。そのため、この撫で亀には「寿命長久」や「家庭円満」のご利益があるとされている。
参拝方法はとてもシンプル。願いを込めながら、亀の像をやさしく撫でる。もちろん、私もしっかり撫でてきた。

【相生の松】一つの根から寄り添って育った夫婦円満の御神木
御本殿の近くには、松尾大社を代表する御神木のひとつ「相生の松」が祀られている。
「相生」とは、二本の木が寄り添うように生えることを意味する言葉。松尾大社の相生の松は、黒松と赤松という異なる種類の松が一つの根から育った、全国的にも珍しいものだったという。樹齢は約350年と伝えられている。

二本の松が一つの根から伸び、寄り添うように立つ姿から、「相生の松」は夫婦円満や良縁を願う象徴として親しまれてきた。異なる二本の松がともに育つ姿に、末永く連れ添う夫婦の姿を重ねてきたのである。
かつての相生の松は、黒松が昭和31年(1956年)、赤松が翌昭和32年(1957年)に枯れている。しかし、その後も御神木として大切に保存され、現在は施設内に安置されている。今もその前で手を合わせる参拝者は多く、縁や夫婦円満を願う場所として信仰が続いている。

【カギカズラ】京都市の天然記念物に指定された珍しいつる植物
境内には、京都市の天然記念物に指定されている「カギカズラ」の野生地がある。
カギカズラは、その名の通り、葉のわきから伸びるカギ状の突起を周囲の木や枝に引っかけながら、つるを上へ上へと伸ばしていく植物。自ら幹を太くして立ち上がるのではなく、周囲の樹木を利用しながら成長していく姿がなんともユニークだ。
時期になると、淡い色をした丸い花を咲かせ、その大きさはピンポン玉ほどになるという。普段は葉やつるに目が行きがちだが、花の時期に訪れれば、また違った表情を楽しめそうだ。

【本殿】室町時代の姿を伝える独特の「松尾造り」
拝殿の奥に建つのが、松尾大社の本殿である。現在の本殿は室町時代初期、応永年間の建造とされ、天文11年(1542年)には大規模な修理が行われた。長い年月を経た今もその姿を残し、国の重要文化財に指定されている。
最大の特徴は、「松尾造り」と呼ばれる独自の建築様式である。桁行三間・梁間四間の建物で、前後に屋根を伸ばした両流造を基本としながら、松尾大社ならではの特徴を備えている。正面から見ると重厚さがありつつ、屋根の広がりによって全体には伸びやかな印象も感じられる。
屋根の造形にも、この本殿ならではの見どころがある。棟の両端にはやわらかな曲線がつけられ、檜皮葺の屋根と木組みがつくる姿はどこか優美である。直線的な柱や梁と、ゆるやかに反る屋根の対比も美しく、松尾大社の本殿を印象づける大きな特徴となっている。


松尾大社の参拝におすすめ!
友禅和紙御朱印帳「星空柄」
酒造の神として篤い信仰を集める京都の古社・松尾大社にぴったりの、深い青の夜空に星々を描いた一冊。霊亀の滝に伝わる「首に三つの星、背に七つの星を負った亀」の伝承とも重なり、松尾大社の御朱印を神秘的で印象深く残してくれます。
【幸運の双鯉(そうり)】恋愛成就と立身出世を願って二匹の鯉を撫でる
本殿を挟んで、「幸運の撫で亀」と反対側にあるのが「幸運の双鯉」である。
松尾大社では、亀と並んで鯉も神様のお使いとして大切にされている。その由来として伝えられているのが、松尾の大神が山城・丹波の地を開くため、保津川をさかのぼった際の伝承である。流れの速いところでは鯉に乗り、流れのゆるやかなところでは亀に乗って進んだとされ、鯉と亀は松尾大社と深い縁を持つ存在として今に伝えられている。
「幸運の双鯉」は、二匹の鯉が寄り添うように並ぶ姿も印象的。恋愛成就や夫婦円満のほか、勢いよく川をのぼる鯉のイメージから、立身出世のご利益もあるとされている。
先ほどの「幸運の撫で亀」が長寿や家庭円満を願うスポットなら、こちらはご縁や出世運を願うスポットといったところだ。もちろん、撫で亀とあわせてこちらもしっかり撫でてきた。

【重軽の石(おもかるのいし)】持ち上げた重さで願いの行方を占う運試しスポット
幸運の撫で亀の近くには、「重軽の石」がある。丸みを帯びた鈴のような形をした石で、表面には松尾大社の神紋である双葉葵が刻まれている。見た目はそれほど大きくないが、実際に持ち上げてみると、なかなかの重量感だ。
この石は、願い事がかなうかどうかを占うものらしい。まずは何も願わずに一度石を持ち上げ、その重さを覚えておく。次に願い事を心の中で念じながら、もう一度持ち上げる。
二度目に軽く感じれば、その願いはかないやすい。逆に重く感じた場合は、願いがかなうまでにもう少し努力や時間が必要とされているという。
もちろん私も挑戦してみた。願いを込めて、もう一度持ち上げてみると……。さっきより少し重いような気がする。どうやら、まだもうひと踏ん張り必要らしい。

【神使(しんし)の庭】亀と鯉の石像が迎える小庭園
本殿の右側、拝観受付の近くにあるのが「神使の庭」である。
神社には、神様のお使いとされる動物「神使」がいる。稲荷神社の狐、天満宮の牛、春日大社の鹿などが有名だが、松尾大社では「亀」と「鯉」が神使として大切にされている。
神使の庭には、その亀と鯉を表した石像が置かれている。手前には白い亀の像、そして少し奥まった岩の上には、滝を上るような姿の鯉の彫刻。奥の鯉はやや見えにくい場所にあるので、少し目を凝らして探してみたい。

神使の庭を眺めた後は、さらに奥へ。廊下の下をくぐるようにして進むと、この先にはまた違った雰囲気の境内が広がっていく。

くぐった後の光景はこんな感じ。案内板にある「霊亀の滝」と「亀ノ井」へと足を運んでみる。

【霊亀の滝(れいきのたき)】霊亀伝説と天狗岩が残る神秘的な滝
さらに奥へ進むと、祠の向こうに「霊亀の滝」が姿を現す。
松尾山から流れる御手洗川の水が落ちる滝で、高さは約8メートル。水量はそれほど多くないが、一年を通して涸れることがないとされている。木々に囲まれた岩肌を細く水が流れ落ちる様子は、派手さこそないものの、どこか神秘的である。
この日も水量は控えめだったが、静かな境内に響く水の音がなんとも心地よい。しばらくその場に立って耳を澄ませていると、参拝で歩き回った疲れまで少し和らぐような気がする。

「霊亀」という名には、松尾大社に伝わる不思議な亀の伝承が関係している。和銅7年(714年)、この谷から首に三つの星、背に七星を持つ亀が現れ、朝廷に献上されたところ吉兆とされ、翌年には元号が「霊亀」に改められたと伝えられている。その後、亀は再びこの谷へ戻されたという。
そして、もうひとつ気になったのが「天狗岩」である。案内板によると、滝の周辺には天狗の顔のように見える岩があり、見る角度や木々の茂り具合によってその表情が変わるらしい。
何度も周囲の岩を確認してみた。それらしい岩を見つけては拡大してみたものの、結局どれが天狗岩なのか最後まで確信は持てず…。
【亀の井】酒造家から信仰を集める松尾大社の霊泉
霊亀の滝の手前にあるのが、「亀の井」と呼ばれる霊泉である。
松尾山の麓から湧き出るこの水は、古くから松尾大社を象徴する名水のひとつ。酒造りの深い結びつきを象徴する場所のひとつで、古くから酒造関係者の信仰を集めてきた。
この水には、酒造りに用いることで酒の品質を守るという言い伝えがあり、全国の酒造家が大切にしてきたという。また、長寿を願う水としても親しまれ、現在でも水を汲みに訪れる人がいる。

さらに亀の井の水は、酒造りだけでなく「延命長寿」「蘇りの水」としても知られている。現在でも早朝から水を汲みに訪れる人がいるという。
水が亀の口から流れ出ていて、その姿がなんともかわいらしい。酒造りの信仰と長寿への願い。その両方が込められた、松尾大社ならではの霊泉である。

【松風苑】重森三玲が手掛けた三つの庭園を巡る
境内には、「松風苑」と呼ばれる庭園がある。昭和を代表する作庭家・重森三玲が手掛けた庭園で、昭和50年(1975年)に完成した。晩年の代表作のひとつとされ、長年にわたる庭園研究の集大成ともいえる作品である。
神社の境内は自由に参拝できるが、松風苑は有料拝観エリアで、中に入る際に500円(大人料金)を支払う。
松風苑を構成するのは、「曲水の庭」「上古の庭」「蓬莱の庭」の三つ。それぞれが異なる時代や思想をテーマにしており、同じ境内にありながら、まったく違った表情を見せてくれる。
①曲水の庭
まず向かったのが「曲水の庭」。この庭は、松尾大社が大いに栄えた平安時代の王朝文化をイメージして造られた庭だという。
松尾大社は平安時代、上賀茂神社・下鴨神社と並んで都を守る神社として厚く信仰されていたそうだ。そんな時代の面影を残しながら、現代的な感覚も取り入れて造られているのがこの庭の特徴とも言える。
庭の中を水が緩やかに蛇行し、その周囲に力強い石組みが配されている。使われている石は、徳島県吉野川産の青石。重なり合う石の姿は、見る角度によって龍の鱗のようにも見える。

訪れたのは5月末。ちょうどツツジも美しく咲いており、庭の緑と花、水の流れが相まって何とも優雅な雰囲気だ。
平安貴族たちが曲水の宴を楽しんでいる姿を想像しているうちに、気分はすっかり光源氏であった。

②上古の庭
続いて向かったのが「上古の庭」。こちらは曲水の庭とは一転して、巨大な石を中心とした力強く、素朴な景観が広がっている。
松尾大社では、現在地に社殿が建てられる以前、松尾山の山中にある磐座を神聖な場所として祭祀を行っていたと伝えられている。上古の庭は、そうした社殿が造られる以前の古代祭祀の世界を表現した庭だ。
地面一面にはミヤコザサが植えられ、山中の風景を思わせる構成になっている。訪れたときは笹がかなり成長しており、ところどころ石が埋もれているようにも見えたが、それもまた自然の中に巨石が佇む古代的な雰囲気を強めているように感じられた。

上古の庭を見た後は、横の通路を進み、神像館の裏側をぐるりと回って再び境内へ。何とも緑がきれいだ。やはり、神社に来ると気が整う感じがする。

③蓬莱の庭
「曲水の庭」「上古の庭」とは少し離れた場所にあるのが「蓬莱の庭」である。入口はやや分かりにくいので、そのまま通り過ぎないよう注意したい。

「蓬莱」とは、不老不死の仙人が住むとされた理想郷のこと。この庭は、そうした蓬莱思想が広まった鎌倉時代をイメージし、池の周囲を歩いて楽しむ回遊式庭園として造られている。
池と石組み、木々の緑が織りなす景色は、先ほどまでの二つの庭とはまた違って穏やかだ。庭全体を上から見ると、羽を広げた鶴を思わせる形になっているともいわれている。
池には鯉が泳ぎ、松尾大社の神使である亀の姿も見られる。

華やかで雅な「曲水の庭」、古代の祭祀を思わせる荒々しい「上古の庭」、そして静かで落ち着いた「蓬莱の庭」。
これはあくまで私の印象だが、三つの庭はそれぞれ性格がまったく異なり、続けて見ることで時代を行き来しているような感覚になる。
時間に余裕があれば、ぜひ三つの庭をゆっくり巡ってみてほしい。
【お酒の資料館】日本酒づくりと松尾大社の関わりを学べる無料施設
さすが「お酒の神様」として知られる松尾大社。境内には酒樽が並ぶだけでなく、「お酒の資料館」まで設けられている。しかも入館は無料。参拝の途中に気軽に立ち寄れるのがうれしい。

館内では、松尾大社と酒造りとの深い関わりをはじめ、日本酒ができるまでの工程や、酒造りに使われる道具、醸造文化などについて分かりやすく紹介されている。
米を蒸し、麹をつくり、発酵させ、搾っていく…。普段は何気なく口にしている日本酒も、こうして一つひとつの工程を見ていくと、実に多くの手間と技術によって造られていることが分かる。
展示を眺めながら「なるほど、日本酒ってこうやってできるのか」と、ちょっとした社会科見学気分も味わえる。参拝だけでなく、酒造文化にも少し触れてみたい人には、ぜひ立ち寄ってほしいスポットだ。

《松尾大社 お酒の資料館の基本情報》
【松尾大社 お酒の資料館の所在地】
京都府京都市西京区嵐山宮町3
【松尾大社 お酒の資料館の電話番号】
075-871-5016
【松尾大社 お酒の資料館の営業情報】
●営業時間 9:00~16:00
●定休日 年中無休
●HP https://www.matsunoo.or.jp/guide06/
星の伝承と神社の記憶を収める一冊【松尾大社にぴったりの御朱印帳】
今回の松尾大社リポートはいかがだったでしょうか。江戸期の趣を残す楼門をはじめ、室町時代の本殿、神使である亀と鯉、霊亀の滝や亀の井、そして重森三玲が手掛けた松風苑まで、境内には松尾大社ならではの見どころが凝縮されていました。
そんな松尾大社参拝の相棒として、改めておすすめしたいのが友禅和紙御朱印帳「星空柄」です。
松尾大社には、境内の「霊亀の滝」にまつわる印象的な伝承が残されています。かつてこの地に、首に三つの星、背に七つの星を負った亀が現れたと伝えられており、「星」は松尾大社の物語を象徴するモチーフのひとつでもあります。

深い青の夜空に無数の星を散りばめた「星空柄」は、そんな松尾大社の伝承と不思議なほどよく重なります。落ち着いた藍色を基調とした表紙は、長い歴史を持つ古社の厳かな雰囲気にもよくなじみ、参拝の記録を収める一冊としても上品な印象です。
松尾大社参拝の思い出とともに御朱印を「星空柄」の御朱印帳へ収めれば、参拝した日の風景や境内で耳にした風鈴の音、霊亀の滝の水音まで、より鮮明に思い出せそうですね。
参拝する神社の由緒や伝承に合わせて御朱印帳を選ぶのも、御朱印巡りの楽しみ方のひとつ。松尾大社に伝わる星の物語と、境内を巡った記憶を一冊に残していく御朱印帳として、友禅和紙御朱印帳「星空柄」をぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。
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神社やお寺に行くたびに、その雰囲気や歴史に触れるのってワクワクしませんか?そんな旅の思い出をカタチに残せるのが御朱印です!力強い筆文字や、神社ごとに異なる印影など、御朱印の1つ1つには訪れた場所の個性やストーリーがギュッと詰め込まれています。そして、御朱印帳をパラっと開けば、訪れた際の風景や空気感が一瞬で蘇ります!

御朱印はただの記念スタンプではありません。その神社やお寺とのご縁を結ぶ大切な証。そして何より、御朱印は集める楽しさがどんどん増していくアイテムです!さらに、自分がお気に入りのデザインの御朱印帳を選べば、気分もよりアップすること間違いなし♪ 1冊、また1冊と増えていくたびに、自分だけのコレクションが増えていくのも嬉しいポイントです!
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